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2012年7月19日 (木)

ラプソディ・イン・ライラック 4

2007年2月20日 (火)

夫婦してグゼるところを聞いてしまった「りら」ちゃん改め「チクロ」。

「ままちゅん、情けないよぅ…」と号泣したものの、まあ、泣くほど悲しいことがその程度しかない幸福をかみしめながらも、チクロの今後を考えねばならない。

どうやら色の濃さはざくろと似たような感じになりそうで、情が移りつつあったのだけれど、これ以上「文鳥男子寮」を規模拡大するつもりもなく、近い将来さらなるお嫁さん探しのネタが増えるだけ…ということもわかっていた。

つてを頼ってあちこちに声をかけて回ると、なんと1歳のシナモンの女の子と交換してくれるという人が現れた。姫路兄弟を新幹線で受け取りに行ったことを考えると「近所」と言っていい場所に住んでいる人で、しかもお互い都合のよい受け渡し場所を話しているうちに、その人の実家がわが家と同じ小学校の校区…はっきり言って隣の町内会じゃん、それ!ということがわかって「こ、これが運命のめぐり合わせか…」と畏れおののいた。

とは言え、我が家はここに引っ越してきてまだ3年で、とくに地元を徘徊する用事もないので、どローカルな場所を待ち合わせに指定されてもわからない…ということで、お互いに確実にわかる郵便局で待ち合わせた。

暴れるチクロを取り押さえて、ティッシュと道中のおやつのための粟穂を入れた小さいプラスチックの虫かごのようなものに入れる。ちょっとのつきあいだったけれど、オトナ文鳥ズにあいさつをさせるとなにやらまた感傷的になってくる。

車に乗って郵便局まで行くと、我が家と同じHOEI角35の黒いのを持ったおじさんを発見。
どう見ても見間違いようがないけれど、鳥かご持ったおじさんが道端に立っているのはかなり異様な光景かもしれない。
「もしかして、あのケージごとくれるのかしら? まさかね。でも、だったらどうやって文鳥さんだけ持って帰るんだろう、わたし…」
と、頭の上に疑問符を2つ3つ浮かべつつ、初対面の挨拶をして、早速チクロの入ったかごを出して、
「これ、このまま持っていってください」
と渡すと、
「でも、この入れ物、いるでしょう?」
「いえ、かまいませんよ。高いものじゃなし」
「じゃあ、こっちのと入れ替えてお渡ししましょう」。
おじさん、道端にしゃがんで文鳥を入れ替えようとしている。い、いや、それはマズいんじゃないでしょーか(汗)。逃がしたら目も当てられんぞ…と、
「あの、あの、車の中でなさった方がよいのでは?(汗)」
と言うと、おじさんは自分の乗ってきたワンボックスカーに大小のケージを持って乗り込んだ。

郵便局は空いているかと思っていたのに、意外に駐車場の車の出入りは多く、郵便局に用事もないのに2台も停めているのはいかんなあ、と思いつつ自分の乗ってきた車を見ると、緊張のあまりエンジンも切らず、ハザードまでついている。
エンジンを切ろうと慌てて車のドアを開けると…ドアの角が顔面直撃!
しかしとっさのことなので、痛みよりも衝撃の方が強く、なにごともなかったかのようにつつがなく交換を終えたいと思ったわたしは、おもむろにドアを閉めた。
ほとんど同時に、文鳥の入れ替えが終わったおじさんが、わたしが持ってきた小さいケージに女の子文鳥を入れて差し出して…一瞬絶句して、
「大丈夫ですか?」
と言った。
「あ、大丈夫です、大丈夫大丈夫」
「でも、血が出てますけど…?」。
え、血?とミラーを見ると、小鼻の脇を横に2センチほど切ったらしく、血がだらだら流れている。傷を触った手でついたらしい血が、反対側の頬にも。骨まではいってないだろうけど、けっこうな怪我である。
それでも、あとは女の子文鳥を受け取るだけで終わるのだから…と「大丈夫です!」とにこやかに答えて小さいケージを受け取ると…1ミリほどふたに隙間があるのに気付いた。
「ふたが閉まらないです…」
と力任せに閉めようとすると、おじさんも一緒になって押さえてくれる。そのとき、視線をちょっとずらすと…ぎゃー、文鳥の足の指がはさまって閉まらないんじゃない!(汗)。
「足が! 足がはさまってますっ!」
おじさん、「あ…」という顔をしてはさんでいた足の指を中に入れ、ぱちんとふたを閉めてくれた。
「…だ、大丈夫ですか?」。
今度はわたしが尋ねる番だった。
「大丈夫大丈夫」。

…ほんとに大丈夫かよー(泣)と思いつつも、自分の顔の傷も気になるので、早々においとまを告げて家に帰る。

帰宅すると、なにはともあれケージを食卓に置き、洗面台に直行。
…顔の右半分、血まみれですがな(泣)。よくこれで「大丈夫です」とか言ったものだ。郵便局の近くには交番もあったけれど、通報されなくてよかったよ、というレベルの、誰がどう見ても間違いなく血まみれ。これで「大丈夫です、大丈夫」と言われたおじさんも、さぞや困惑したことだろう…すまねえ(泣)。

あ、女の子文鳥の足の指は、本当に「大丈夫」だったのが不幸中の幸い。

ちなみに、この「おじさん」が、のちにくるみちゃんとあこやちゃんとの間のひなひな(つまりはりらちゃんの孫)を貰ってくださった、東広島のOさまである(笑)。

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コメント

ずーっと読んでおります。楽しみに「そろそろ次がアップしているだろうか?」とワクワクして飛んできます(笑

笑っていいものかその場の空気までもが想像でき痛みを我慢しての受け渡し「わかる~~~」と感情までもうつるほどです。

思い出はいつまでも素敵なものでそれのおすそ分けありがとうございます。

5も6も7も楽しみにしています!

投稿: テロテロ | 2012年7月20日 (金) 08時17分

>テロテロさま
お、お、お久しぶりです~(泣)。
いつぞやはメールをいただいていたのに、お返事できずじまいですみませんでした。あのころはもう自分のことだけで精一杯でまったく余裕がなくて…ごめんなさい。

よくあることですが、とっさの事故って痛みより驚きのほうが強くて、その場ではほとんど痛みは感じなかったんです。まさかそんなに出血するほどの怪我だとは思ってもなくて、家に着いて廊下のつきあたりの姿見に顔じゅう血まみれの女が写っていて、なんのホラーかと思いました(汗)。

クルマで帰宅する途中に児童公園があって、休日だったので、平日よりもずっとたくさんの親子連れがいて、道に出ている子供を端に寄せてくださった親ごさんに車内から軽くおじぎしたりしていました。
それがみなさん、顔をあげるとぎょっとした表情でフリーズしていらしたので「???」と思っていたのですが、いや、あれはマヂ怖かったと思います(泣)。

自分でも読み返してみて、
「あ~、そうそう、そうだったのよ~」
と懐かしさにひたっております。
ざくろさんとりらちゃんがらぶらぶになるまでにはまだまだかかるので、しばらくはこのシリーズが続くと思います。期待せずにお待ちくださいませ(笑)。

投稿: シナモン母 | 2012年7月20日 (金) 21時09分

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